2025年11月22日土曜日

【第893号】「ビジネスと人権」の「一丁目一番地」

「どんなことも7世代先まで考えて決めなくてはならない」

ネイティブ・アメリカン(イロコイ族)の格言

                                         

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今週は、長年ダイキン工業淀川製作所からのPFAS汚染に晒されてきた

周辺住民の方々が、ダイキンを相手に公害調停を申し立てるとの記者会見をされました。

 

ダイキン工業からのPFAS汚染は、長期間、広範囲に及んでおり、

神戸や阪神間に供給される淀川の水も影響を受けていますので、

私も公害調停を応援しています。

 

PFAS汚染は米軍基地由来や産廃由来などがありますが、

この公害調停はダイキン工業というグローバル企業を相手取ったもの。

 

企業が環境を汚染し、住民の水への権利や健康への権利を侵害したとき、

どのようなことが、国連の「ビジネスと人権」指導原則として、

企業に求められているのかを、ひとつご紹介します。

 

 

「ビジネスと人権」対応において、「一丁目一番地」ともいわれるのが、ステークホルダー(もしくはライツホルダーと呼ばれる被害当事者)エンゲージメント。

すなわち

「人権リスクの特定と評価、それへの対処の追跡調査、そして苦情処理メカニズムの過程において、ステークホルダーとの「有意義な協議」、「フィードバックの活用」、「情報提供」などが求められることが、その出発点。」p.271)*

 

ステークホルダーすなわち「話すべき相手」についてよくある誤解。

 

対話が可能なライツホルダーや関連ステークホルダーがいるにもかかわらず、これらと話をせず、その地域のコミュニティの代表者(例えば村落の長)、現地の政府の担当者(例えば、労働問題を管轄する役所や、地方政府の担当者)と話したり、さらにひどい場合には自社が雇用している現地のコンサルタントに相談する「だけ」という場合があります。

 

これらの会話には意味がある場合ももちろんあるでしょう。しかし、地元のコミュニティや地方政府などは、ライツホルダーとの距離が遠かったり、投資誘致や税収や雇用の理由により、ステークホルダー本人よりも企業や地域、国の利益(最悪の場合は自身の利益)を優先して考えるなど、そもそもライツホルダーと利害が相反している場合も往々にしてあります。そのような懸念がある中で、たとえ工場がある村の村長や、中央政府の大臣が「工場では人権リスクは生じていない」と認めたとしても、ステークホルダーエンゲージメントの趣旨に照らして全く意味がないことは容易に理解できると思います。p.282)

 

 

これまでダイキン工業は、

摂津市内の一部地域の自治会長や農業協議会員対象の説明会を開くのみで、

地域住民が望む、広く開かれた対面式の住民向け説明会さえ開催してきませんでした。

 

その姿勢を改め、しっかりと汚染事業者の責任を果たすことが求められます。

 

最後に、ある国際シンポジウムで、私の質問に答えてくれた

「ビジネスと人権」作業部会のYeophantong委員(訪日調査メンバー)の言葉を紹介します。

 

利益を人よりも優先する企業、人々の健康と環境を犠牲にする企業にとって、グローバルなサプライチェーンとグローバル市場で生き残ることはますます困難になるでしょう。なぜなら、ビジネスと人権、特に義務的な人権デュー・ディリジェンスに関する法律が増えているからです。

 

ダイキン工業が、人権デュー・ディリジェンス(企業として当然するべきこと)を、

果たすよう、注視し続けます。

 

 

*引用文献 

『「人」から考える「ビジネスと人権」』湯川雄介著 2024年刊

 

++ 公害調停について ++

 

関西のテレビ各局も取りあげてくれました。そのひとつです。

■「PFAS」めぐり近隣住民らがダイキン工業公害調停を申請へ 

大阪・摂津市の川などから検出された問題

「住民の声を聴こうとする態度も全く見受けられません」

MBS 20251118

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20251118/GE00069768.shtml

 

 

これまでずっとダイキンPFAS汚染を追及してきたTANSAが詳しく報じています。

特に、現在公害調停の申請人を受付中ですので、

ダイキン淀川製作所による環境汚染や健康被害に不安を抱く人であれば、

申請人に加わることができます。摂津市や大阪市などの近隣住民のみならず、

通勤・通学者も対象となります。説明会も開催されるので、

申請人になろうかな?と思われる方は、ぜひ記事をお読みください。

  ↓

■ダイキンのPFAS汚染巡り、住民らが公害調停へ 

クボタ・アスベスト公害の弁護士らで弁護団結成

TANSA 20251118

https://tansajp.org/investigativejournal/12819/

 

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++ 今週の気になるニュース  ++

 

【かおるの独自ニュース】

■阪神水道事業団からの水道水のPFAS値が急増!

久しぶりに神戸市水道局のHPをチェックしたところ、

最新版の7~9月の阪神水道から供給されている水のPFASが、

13~15ng/Lに跳ね上がっていました!

2024年からずっと10ng/L以下だったのに!!なぜ!?

原因を究明したいと思います。

PFAS値はこちらをご覧ください

https://kobe-wb.jp/wp-content/themes/kobe_theme/pdf/suishitu/kensa/houkoku/2025/R7yuukifusso7-9.pdf

 

 

 

言わなくてもいいことを言って、撤回もせず・・・

責任の重さを自覚しない、軽い発言と認識の甘さに適格性を疑います。

 

■「“なり得る”って言っただけだから…」高市早苗

“存立危機”答弁後に漏らした本音、

政権内部からは「言わなくてもいいことを言ってしまって」の声

文春オンライン 2025/11/20

https://news.yahoo.co.jp/articles/2fddca4012b330cbb7ede7cc05d73085a5ca86d7

 

軍事的な国力の差は何十年も前から明白ですが、経済も・・・

■加谷珪一氏 日中関係悪化が経済に与える影響

「日本の国力は物凄く落ちているので交渉としては…」

スポニチ 2025/11/18

https://news.yahoo.co.jp/articles/8eda620e695b6615e4b34db78b2cb11d6f9bee88

 

事実をきちんと見極めることが、安全保障の第一歩だと思いませんか?

 

事実を見れば、この再稼働がいかに無謀、安全保障上の脅威かわかるはずと思うのですが・・・。

■【速報】東京電力・柏崎刈羽原発 新潟県知事が再稼働容認を表明

TBS NEWS DIG 2025/11/21

https://news.yahoo.co.jp/articles/e5e32a7c5fbd162b5e56c734ccea1040802259bb

 

 

 

++ イベント紹介 ++

 

世界に逆行する日本の水道水の「ゆるい」PFAS規制値はどのように決まったのか?

そこに私たちの健康と未来を守る視点はあったのか?

これからもあらゆるPFAS汚染問題で立ちはだかることになる、

「ゆるい」PFAS規制値の根拠であるリスク評価の問題について、貴重なフォーラムです。

 

☆院内集会 高木基金PFASプロジェクト市民フォーラム

リスク評価の裏側―PFAS論文差し替えで見えた「いのちを守る仕組み」を考える

日時:20251126日(水)13301600(開場1310

会場:衆議院第二議員会館 地下1階 第8会議室

オンライン同時開催

参加費無料(カンパをお願いします)

主催 高木基金PFASプロジェクト

申し込みなど、詳細はこちらのサイトをご覧ください↓

https://www.takagifund.org/activity/2025/20250421pfas.html

 

 

 

☆国際社会から見た日本の人権ってどうなん?

~人権と思いやりは別物~

日時:2025年12月20日(土)15:00開会(14:30開場)

会場:龍谷大学深草キャンパス 慧光館(えこうかん)102教室

 https://www.ryukoku.ac.jp/about/campus_traffic/fukakusa.html

講演 藤田早苗さん エセックス大学人権センターフェロー 写真家

人権分野のベストセラー『武器としての国際人権』の著者で、国連による調査のサポートもされてきた英国在住の藤田早苗さんが、動画など様々な資料を用いて、わたしたちの近くに引き寄せ、わかりやすくお話ししてくださいます。

【参加申込】不要

【参加費】無料

主催:ヒューマンライツを考えよう@京都伏見実行委員会

詳細:https://www.facebook.com/events/664576689752044/

 

 

☆藤田早苗さん講演会@神戸・垂水

【日時】2025年1221日(日)1330~1630

【会場】垂水文化センター多目的ホール

   (住所:神戸市垂水区日向1-5-1レバンテ垂水2番館3階)

https://www.kobe-bunka.jp/facilities/tarumi/

【講演者】藤田早苗さん(エセックス大学人権センターフェロー)

【参加申込】https://x.gd/mvSLo

【参加費】500円(18歳未満無料)

【チラシ】 http://www.nagoya.ombudsman.jp/himitsu/251221.pdf

【主催】「プラットホームたるみん tarumin2024@gmail.com

 

202511-20262月 藤田早苗さんが全国講演します。

お近くの会場をぜひチェックしてみてください。

https://hyogen-tsutaeru.jimdofree.com/

 

 

 

☆関電兵庫支店抗議行動700

日時:20251128日(金)1800

場所:関電ビル前(三宮の東遊園地南側)~デモ~マルイ前  

詳細はチラシをご覧ください。↓

https://www.facebook.com/groups/1370448256457063/posts/3385110438324158/

 

2012年の7月から1週も欠かさず金曜日に脱原発を訴えてきた抗議行動が700回に!

私も久しぶりに仕事帰りに参加しようと思います。

ずっと続けてこられた皆さんに、感謝です。

 

 

 

++ 英語のブログを更新しました ++

 

先月、神戸で「良心的不服従」を語ってくれた元米兵のジョイの動画です。

A young veteran and conscientious disobedience

https://tankaagainstwar.blogspot.com/2025/11/

元空軍士官ジョイ・メツラーは、若くして空軍士官学校を目指し、合格し、卒業し、

順調に将来の夢を実現していた。

何がそんな彼女を「良心的不服従」へと駆り立てたのか。最後の一言は、圧巻。

日本語字幕付きですので、ご覧ください。

 

 

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 素晴らしい夢をみて、それを行動に移せ

                       ナバホ族の格言

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♪ 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。 ♪

 

 

 

♪♪ 発行者プロフィール ♪♪

小橋かおる 「花と爆弾-もう、戦争の暴力はやめようよ-」著者。

2004年の出版以来、アフガニスタンとイラクの子どもたちの支援を続けています。

2011年からは福島の子どもたちの健康を守る活動も支援させてもらっています。

さよなら原発神戸アクションの共同世話人も努めています。

できることをコツコツ、じわじわ続けたいと思います。

「花と爆弾」HPhttps://hanabaku.blogspot.com/

ブログ「花と爆弾」Words for Peace: https://flowersandbombs.blogspot.com/

ブログ「7世代に思いをはせて」https://nanasedai.blogspot.com/

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一丁目一番地がきれいなところだったらなぁと
パースのメインストリートのお花屋さん