「どんなことも7世代先まで考えて決めなくてはならない」
ネイティブ・アメリカン(イロコイ族)の格言
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今週は、国際的な報告書がふたつ提出され、それぞれ読みました。
ひとつは、自身でしっかり調査されて、国際人権に則った勧告を出したもの。
もうひとつは、他者の調査をなぞるだけで、責任放棄したもの。
後者は、今週、日本政府に提出され、大きく報道されていた
「処理水」という名の福島第一原発のタンクに溜まる放射性汚染水の
海洋放出に関するIAEAによる報告書です。
メディアは、「処理水海洋放出、国際基準に合致」と大々的に報道していますが、
その報告書の序文はこの言葉で終わっています。
「最後に、福島第一原子力発電所に貯蔵されている処理水の放出は、
日本政府の国家的決定であり、
本報告書はその方針を推奨するものでも支持するものでもないことを強調しておきたい。」(p. iii)*
報告書を読んでいて、責任放棄していると思うところは多々ありましたが、
ひとつ例を挙げると、「正当化」に関する報告(pp.18-19)
「放射線リスクを引き起こす施設や活動は、全体的な利益をもたらさなければならない。」*
という基本原則をかかげながら、その内容は、
「日本政府からIAEAに対し、ALPS処理水の海洋放出に関する国際安全基準の適用を見直すよう要請が提出されたのは、政府の決定後であった。
したがって、今回のIAEA安全審査の範囲には、
日本政府が行った正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。」*
もうひとつの報告書は、今週、国連人権理事会本会議に提出された
国内避難民の人権に関する特別報告者による訪日調査報告書です。
その中で、福島第一原発からの「処理水」の海洋放出についても勧告されていました。
「特別報告者は、当局が公平な科学的専門知識に導かれ、
より一般に受け入れられ得る実現可能な代替案に照らしてこの廃水の放出を再考し、
漁業関係者を含む影響を受ける人々との
双方向のフィードバックを可能にする協議を実施することを勧告する。」**
訪日調査報告書には、国際人権の視座に基づき
影響を受ける当事者の意見を反映させることを求める
日本政府への貴重な勧告が、多数なされていました。
また、後日、当メルマガでも詳しく取り上げたいと思っています。
= 関連ニュース =
■「IAEAは責任放棄」 米専門家が批判
時事通信社 2023/7/7
https://news.yahoo.co.jp/articles/656421ac3bdf8c18389066c92681c238a48eaa86
マクヒジャニ氏は、放射性物質の投棄に際しては
社会や人々への利益がリスクを上回るという「正当化」が必要だと強調。
「正当化は安全の基本原則の柱であるにもかかわらず、
IAEAはこれを検討する責任を放棄した」と指摘した。
++ 報告書の原文(英語) ++
*IAEAによる処理水報告書の原文
https://www.iaea.org/sites/default/files/iaea_comprehensive_alps_report.pdf
** 特別報告者による訪日調査報告書(A/HRC/53/35/Add.1)が掲載されている国連サイト
https://www.ohchr.org/en/hr-bodies/hrc/regular-sessions/session53/list-reports
日本語訳は小橋による仮訳です。
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++ 貴重な声明 ++
■【原子力資料情報室声明】IAEA報告書は汚染水の海洋放出を正当化しない
2023/07/06 https://cnic.jp/47363
論点がわかりやすく整理されています。
++ 今週の気になるニュース ++
■福島原発事故避難者への対応批判 国連人権理任命の特別報告者
共同通信 2023/7/4
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c242da68dcc510df1fc15e3b3ceb96c848b40c1
↑
神戸新聞の7月5日の朝刊の紙面では、この後に、
「報告書は福島県が自主避難した人らへの住宅の無償提供を2017年に打ち切る一方、帰還した人には住居費などの優遇措置が与えられていると指摘。避難した全ての人を平等に支援するべきだと政府に求めた。」が続いて、政府の主張への反論も掲載されています。
■処理水海洋放出、国際基準に合致 IAEAが報告書、首相に提出
神戸新聞NEXT 2023/7/4
https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/202307/0016547358.shtml
↑
この神戸新聞のWEB版では掲載されていませんが、
7月5日の朝刊の紙面では、「海洋放出は、日本政府による国家的決定であり、
この報告書はその方針を推奨するものでも、支持するものでもない。」と書いてありました。
社説では、見出しにしっかり、「海洋放出の奨励ではない」と書いてくれたことに、感謝。
↓
■<社説>処理水報告書/海洋放出の推奨ではない
神戸新聞 2023/7/7
https://www.kobe-np.co.jp/opinion/202307/0016556614.shtml
影響を受ける当事者の意見を、政府は反映させる義務があるはずです。
↓
■処理水の海洋放出に反対 宮城県議会が全会一致で可決
NHK 宮城 NEWS WEB 2023年07月04日
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20230704/6000023990.html
国民の声はまったく取り入れられず、
一部利益団体のための決定と言えるニュースが続々です?
↓
■昨年度の税収71兆円で過去最高 剰余金の半分は防衛力強化に
NHK WEB NEWS 2023年7月3日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230703/k10014117291000.html
↑
物価が上がり、それに伴って毎日支払う消費税も上がり・・・
そして税収が上がって、防衛費に使う???
また、できもしないことに、税収が投じられようとしています。
できなくても、企業も自民党も予算さえ得られたらOKということ、と私は思います。
■次世代原発、三菱重工が統括へ…高温ガス炉・高速炉開発を主導
読売新聞 2023/7/5
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b0ff34e642ca3e0854ccb3a5e089dabcd4ce969
「政府は二つの炉の開発に向けて、2023年度以降の3年間で計900億円の予算を確保している。」
日本国民のみなさん、こんなことでよろしいのでしょうか?
++ イベント紹介 ++
☆原発賠償関西訴訟第96回訴訟学習会
■今回のテーマ■
避難者と国際人権
~「武器としての国際人権」からの考察~
講師:小橋かおるさん
(国内避難民の人権に関する国連特別報告者による訪日調査を実現する会)
■日時■
2023年7月15日(土)14時~15時30分
※この後、関西訴訟原告・弁護士・支援者による情報交流会があります。
学習会だけのご参加も歓迎です。
詳細:
専門家ではないので恐縮ですが、
再び、「武器としての国際人権」を元にお話させていただく機会をいただきました。
この拙ブログを元にお話します。
■『武器としての国際人権』を読んで・・「失われた30年」
http://flowersandbombs.blogspot.com/2023/01/
引き続き、寄付のお願い
☆国連人権理事会本会議参加ためご寄付をお願いします!
7月3日の国連人権理事会本会議で、IDPs(国内避難民)特別報告者の訪日調査報告書が、無事発表されました。この本会議に、福島原発事故避難者も参加できました。「実現する会」のメンバーとして、小橋も皆様のこれまでのご協力に、心から感謝します。
日本語字幕などはついていませんが、当日の本会議の国連の動画をリンクします。
https://media.un.org/en/asset/k1s/k1spzpihu3
しかしながら、これまでの渡航費などの経費、翻訳作業など費用がかかっております。
目標額に達するよう、皆さまにご寄付のご協力をお願いいたします。【目標額200万円】
振込先:「国連特別報告者の訪日を実現する会」
ゆうちょ銀行 記号番号14490−44033161
他金融機関からの振込
店名「四四八」(読みヨンヨンハチ)、店番448
預金種目普通預金口座番号4403316
詳細:国内避難民の人権に関する国連特別報告者による訪日調査を実現する会
https://ceciliajimenezamary.livedoor.blog/
いよいよ、明日です
☆子どもたちの地球を汚すな!原発いらないお話し会
日時: 2023年7月9日(日) 14:00~16:00 & パレード
会場: 神戸市立婦人会館「さくら」の間
アクセス: JR「神戸」駅下車、北へ徒歩5分。https://kobe-fujin.jimdo.com/
参加費:500円
お話:
木原壯林さん:「原発は、なぜ無くさなければならないか」(老朽原発うごかすな!実行委員会)
吉本ひろ子さん:「多様な表現でホットな脱原発運動を創り出そう!」(脱原発明石・たこの会)
連絡先:(西) 080-5631-7699 mail oniyamma24@outlook.jp
主催:さよなら原発神戸アクションなど
詳細:https://sayogenkobe.blog.fc2.com/blog-entry-255.html
私も参加するだけでなく、歌います♪ よろしければ、ご一緒に☆
++ 英語のブログを更新しました ++
7月は私の誕生月なので、私の願いを託した短歌を紹介しました。
「戦争は終わるあなたが望むなら」
レノン彗星夜空に歌う
https://tankaagainstwar.blogspot.com/2023/07/
++ ++ ++ ++
素晴らしい夢をみて、それを行動に移せ
ナバホ族の格言
++ ++ ++ ++
♪ 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。 ♪
♪♪ 発行者プロフィール ♪♪
小橋かおる 「花と爆弾-もう、戦争の暴力はやめようよ-」著者。
2004年の出版以来、アフガニスタンとイラクの子どもたちの支援を続けています。
2011年からは福島の子どもたちの健康を守る活動も支援させてもらっています。
さよなら原発神戸アクションの共同世話人も努めています。
できることをコツコツ、じわじわ続けたいと思います。
「花と爆弾」HP:https://hanabaku.blogspot.com/ ←2020年5月より新しくなりました
ブログ「花と爆弾」Words for Peace: http://flowersandbombs.blogspot.com
ブログ「7世代に思いをはせて」https://nanasedai.blogspot.com/
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