「どんなことも7世代先まで考えて決めなくてはならない」
ネイティブ・アメリカン(イロコイ族)の格言
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今週は原発賠償関西訴訟の原告本人尋問の傍聴に行きました。
このような原発賠償訴訟では、いつも東京電力の代理人は、
「たいした放射線量でもないのに原告が勝手に逃げた」と言いたいのか
(具体的な数値を見れば、避難の相当性は十分あるのに)、
2011年の夏頃の福島県の市町村の広報誌を見せて、
「現在の放射線量では健康に影響は考えられないので安心してくださいと市長が言っていたのはご存じか?」とか
「2011年には夏祭りが行われたのは知っているか?」と質問してきます。
この日の最後に本人尋問に立たれた男性の原告が、
弁護士から「最後にこの裁判に期待することは何ですか?」と聞かれ、
その返答がとても重要な指摘だったと思うので、ご紹介します。(私の記憶頼りですが)
「私の住んでいた郡山市からの広報にある放射線などに関する情報は、
ある意図を持って出されていた情報だと思います。
郡山市は市民がいなくなったら、行政区として存在できませんから。
行政が行政を守るために出した情報が、
人々の権利を侵害したとき、
それを糺すことができるのが司法だと思います。」
そのとおりです。
だから、行政、司法、立法と三権は分立しなければならないのです。
行政による放射線に関する情報の隠蔽、矮小化は、
国内避難民の人権に関する特別報告者も、その訪日調査報告書で指摘しています。
「政府調査によれば、避難区域の決定は厳密には科学的なプロセスではなく、
放射線の危険があるすべての地域を網羅しているわけでもない。
事故に関する詳細な情報の提供に政府が消極的、
時には矛盾したメッセージを発したことで住民の信頼は損なわれた。
その後の調査で重要な情報が隠蔽されたり軽視されたりしていたことが明らかになり、信頼はさらに低下した。
したがって、多くの住民は、無計画かつ遅滞した公式の避難指示を待つのではなく、避難について自分自身で決定しなければならなかった。」*(パラグラフ15)
司法は、その役割をしっかり認識して、
健康への権利や情報への権利を蔑ろにし続ける
行政の罪を断じてほしいと強く思います。
*引用文献
■国内避難民の人権に関するダマリー国連特別報告者による訪日調査報告書(2023)
国内避難民の人権に関する国連特別報告者による訪日調査を活用する会・仮訳
https://www.hurights.or.jp/archives/investigation-report-2023/
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++ 今週の気になるニュース ++
最高裁はほんとうに司法なのかと疑わざるを得ない記事です。
↓
■「東京電力と接近した最高裁に“東電刑事裁判”の公正な判断ができるのか」
問い続ける福島の被害者と弁護士
JBPress 2024/5/28
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81230
■福島県が東電への損害賠償訴訟取り下げ
共同通信2024/5/29
https://news.yahoo.co.jp/articles/7693ac44d47a4a621458d6e2cce72b32a9faf34a
「福島県は29日、東京電力福島第1原発事故に対応するために生じた人件費など約9千万円の損害賠償を東電に求めた訴訟を、取り下げたと発表した。」
↑
借り上げ住宅の原発避難者は裁判起こして、
国連特別報告者から「人権侵害の可能性がある」と報告されてでも、追い出すのに、
東電への9千万円の損害賠償請求は訴訟取り下げるとは?
「人権侵害」については、上記のダマリー報告書のパラグラフ69をご覧ください。
■「PFAS汚染源はどこ」市民団体が相模原市に情報開示求める
「市民の健康に関わる人権と知る権利」の問題
altera 2024/5/29
https://news.yahoo.co.jp/articles/e1b588e740b3dbc98b7c6242351e9f00f4d0db38
↑
リンクをクリックしてもらうとわかりますが、情報開示された書類は、
真っ黒に塗りつぶされた、いわゆる「のり弁」でした。
私たちの健康に直結する問題を隠蔽する。
これも、私たちの健康への権利、知る権利への権利の侵害です。
■国連の作業部会「人権尊重の認識不足」 日本に人権機関設置を勧告
朝日新聞DIGITAL 2024/5/30
https://news.yahoo.co.jp/articles/2d80e0187063cebb4e0ca4b68f6a7cf10ed74bda
↑
詳細な事例は、「差別」に関するものだけでなく、PFAS汚染者責任や、原発事故除染作業者について、内部告発者の擁護体制の脆弱さなど多岐にわたっています。
そのような様々な権利の集合体が人権だということを、記事で言及されている地方の企業だけでなく、メディアも政府も理解していない・・・
だから、国内人権機関の設置を勧告されているのです。
事故があれば、被ばくさせられる私たちの声を無視して原発を動かすことも、
私たちを人間として見ていないということ。
決定のプロセスに被害を受ける当事者を参加させないことは、人権侵害です。
↓
■高浜3、4号機も60年運転可能に 20年の延長、規制委すべて認可
朝日新聞DIGITAL 2042/5/29
https://news.yahoo.co.jp/articles/05cabe16f82245d6e3d9158e587008ecda000afb
++ イベント紹介 ++
デモも権利を訴えるための大切な行動です。
私は参加できませんが、京都と大阪のアクションをご紹介します。
☆「核汚染水海洋投棄ストップ!!!世界市民行進」
2024年6月8日(土)行進(雨天決行)
14時集合 京都市役所前
14:30 出発(出発前にアピール行動あり)
行進コース 京都市役所前→烏丸五条付近 解散地点
詳細は、核汚染水ストップ世界市民行進ブログ
https://glomajp.livedoor.blog/ にて随時お知らせします。
主催 GLOMA JAPAN実行員会
連絡先 gloma2024@gmail.com
協賛 汚染水を海に流すな!関西ネットワーク
☆6・9(日)とめよう!原発依存社会への暴走 大集会
~地震も事故もまったなし~
◆集 会:13:00
◆デ モ:14:30 難波まで (終点・元町中公園)
◆ところ:うつぼ公園(東園)/大阪市西区
◆主 催:老朽原発うごかすな!実行委員会
https://blog.goo.ne.jp/takahamakarakanden
☆ドキュメンタリー映画上映会
放射線を浴びた「X年後」「X年後2」
日時:2024年6月16日(日)13時開場
放射線を浴びたX年後 13:20~14:45
放射線を浴びたX年後 2 15:00~16:30
会場:宝塚市立男女共同参画センター 1AB
(阪急・JR宝塚駅下車ソリオ2 4F)
参加費: 300円 (当日映画上映カンパお願いします)
1954年米国が行ったビキニ水爆実験による第五福竜丸の被ばくを知る人は多いですが、この船以外の漁船の乗組員も多く被ばくしたことはあまり知られていません。歴史から葬られようとしていたこの事実を高知県の高校教師や生徒が調査、地方テレビ局のディレクターであった伊東英朗監督が長期取材し「X年後」というドキュメンタリー映画を製作しました。
そしてこの「X年後」を見たある若者が、元漁師だった父の36才という若さでの死に疑問を抱き、放射線防護学の専門家と共に調査をし、続編「X年後2」の映画が生まれました。
放射線を浴びるというのはどういうことか。核をめぐっての国のあり方が問われる今、映画を見て、核のこと、被ばくのことをご一緒に考えたいと思います。
1本だけの鑑賞も歓迎です。お誘い合わせてご来場ください。
主催:原発の危険性を考える宝塚の会
詳細:https://genkinokai.exblog.jp/
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素晴らしい夢をみて、それを行動に移せ
ナバホ族の格言
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♪ 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。 ♪
♪♪ 発行者プロフィール ♪♪
小橋かおる 「花と爆弾-もう、戦争の暴力はやめようよ-」著者。
2004年の出版以来、アフガニスタンとイラクの子どもたちの支援を続けています。
2011年からは福島の子どもたちの健康を守る活動も支援させてもらっています。
さよなら原発神戸アクションの共同世話人も努めています。
できることをコツコツ、じわじわ続けたいと思います。
「花と爆弾」HP:https://hanabaku.blogspot.com/
ブログ「花と爆弾」Words for Peace: http://flowersandbombs.blogspot.com
ブログ「7世代に思いをはせて」https://nanasedai.blogspot.com/
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大阪地裁正門の南側に見える景色です。 高速道路の高架の隙間から。 |