2024年6月22日土曜日

【第819号】ALARAとPFAS

 「どんなことも7世代先まで考えて決めなくてはならない」

ネイティブ・アメリカン(イロコイ族)の格言 

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今週6月20日に、有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価についての意見・情報の募集結果の回答案が公表されました。

今年2月のパブコメに意見を送る形で、私としては、できることは全てやるつもりで規制強化を訴えたのですが、

結果は、パブコメに寄せられた約4000件の意見を無視し、以前のまま。

欧州食品安全機関(EFSA)が2020年に設定した許容量、

体重1キロ当たり0.63ナノグラムと比べると、

今回の内閣府食品安全委員会が設定した許容量はPFOSとPFOAの合計は

40ナノグラムで、EFSAの数値の64倍となっているものです。


その回答案から、1カ所抜粋します。


一般に、食品中の汚染物質のリスク管理については、「ALARA(as low as reasonably achievable:合理的に達成可能な限り低く)の原則」に従い、“無理なく到達可能な範囲でできるだけ低くすべき”とされています。 PFOS 及び PFOA をはじめとする PFAS については、健康影響に関する情報が不足しており、不明な点等は多いことも考慮して、 まずは、今回設定した TDI を踏まえた対応が速やかに取られること(中略)が重要であると考えます。(p.24)*1



”無理なく到達可能な範囲”???

「合理的に達成可能な限り」が、なぜ「無理なく」と解釈されているのか?


このALARAの原則は、放射線被ばくでもよく使われるものですが、

その原則を確かめるために英語で検索してみました。


ALARA means avoiding exposure to radiation that does not have a direct benefit to you, even if the dose is small. *2

「ALARA とは、たとえ線量が少ない場合でも、直接的な利益をもたらさない放射線への曝露を避けることを意味します。」


直接的な利益とは、一般人ならば骨折の有無を確かめるために

被ばくしてレントゲンを撮るというようなものでしょう。


”無理なく到達可能な範囲”という和訳は、一体何でしょう?

役所が何もしなくて良いように?

企業が対策しなくても良いように?

住民はPFASに被ばくしろということでしょうか?


欧米はPFAS規制を強化しています。

なぜ、日本はその強化が「合理的に到達可能」ではないのか?

なぜ、日本の住民の私たちは、ヨーロッパの人々の64倍のPFAS被ばくを受け入れなければならないのか?


おかしいと思いませんか?



最後に、昨年訪日し、今年5月に発表された国連の「ビジネスと人権」作業部会の調査報告を抜粋してご紹介します。


作業部会は、東京、大阪、沖縄、神奈川、愛知で、PFASに汚染された水に関する複数の事例を聴取しました。


現在までに、我々は、PFAS に汚染された水源の近くに住む人々の健康調査を行う政府の取り組みは限られていると理解しています。


東京都が地下水調査の実施、一部の取水井戸の停止、ホットラインの設置など、前向きな措置を講じていることに注目しています。 もう一つの前向きな取り組みは、東京の私立病院が PFAS 相談クリニックを設立したことです。


汚染されたすべての地域で PFAS 汚染とその健康への悪影響に対処するには、国レベルでの追加対策が必要です。*3




PFAS に汚染された水源の近くに住む人々の健康調査と、

PFAS汚染源の特定と撤去、そして処理は、

合理的に到達可能です。



*引用サイト

*1有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案) についての意見・情報の募集結果について(回答案)

第9回有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループ(2024/6/20)資料2

https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20240620so1


*2 Guidelines for ALARA – As Low As Reasonably Achievable

https://www.cdc.gov/radiation-health/safety/alara.html


*3 ビジネスと人権作業部会 訪日調査報告書 パラグラフ62&63

https://www.ohchr.org/en/documents/country-reports/ahrc5655add1-visit-japan-report-working-group-issue-human-rights-and


=関連ニュース=

■「PFAS」 政府として健康影響を初評価 内閣府食品安全委員会の作業部会

TBS NEWS DIG 2024/6/20

https://news.yahoo.co.jp/articles/ba1dc12c9a693040578e7e68db0ded043adf8b24


=関連サイト=

■7世代に思いをはせて【第810号】アメリカからの朗報に思うこと 

https://nanasedai.blogspot.com/2024/04/810.html

今年4月に発表されたアメリカの4ng/LのPFASの新規制値。

日本政府にも同様の規制を求めます。

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++ 今週の気になるニュース  ++


■高濃度PFAS検出巡り明石市長 市民への血液検査、助成検討せず

神戸新聞NEXT 2024/6/19

https://www.kobe-np.co.jp/news/akashi/202406/0017785551.shtml


明石川から取水した水道水を飲んでいた明石市民の血液検査結果

(9人中6人から健康を害するリスクが生じるとされるドイツの基準値を超える数値が検出された)を、市長はどう受け止めているのか?

昨年の記事ですが、再掲します。

      ↓

■発がん性指摘の有機フッ素化合物、明石川流域の住民から検出 

9人中6人が基準値超え 京大名誉教授らが発表

神戸新聞NEXT 2023/9/21

https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202309/0016836485.shtml



上記で紹介した国連作業部会への政府(東京都)の反論への検証記事です。

■PFAS汚染への取り組みを批判した国連報告書に東京都が削除要求!

その反論内容を詳しく検証する

Slow News 2024/6/19

https://news.yahoo.co.jp/articles/3316a948e1086ee284876551ccf8a02d1ae7246c



あまり大きく報道はされなかったようですが、

原因不明の火災による冷却水の停止・・・これが、稼働中の原発だったら?

      ↓

■福島第一原発6号機冷却停止トラブル 火災が影響か 

福島テレビユー 2024/6/19

https://news.yahoo.co.jp/articles/215fa346bd74311128bdd024cc94353056a0f057




++ イベント紹介 ++


まだまだ先なのですが、アメリカのPFAS対策と、

兵庫県の現状を知るための学習会を仲間と企画しました。

ぜひ、スケジュールに入れてください。


☆あなたの水は大丈夫?~発がん性のPFASから身を守るために~

日時:2024年8月22日(木)18:30~20:40(18時開場)

会場:中央区文化センター 会議室1001+1002 定員 104人 

アクセス:JR・阪急・阪神・市営地下鉄山手線三宮駅から徒歩6分 神戸市役所西側

   https://www.kobe-bunka.jp/facilities/chuo/

参加費:1000円 (大学生以下、500円) *申し込み不要

講師:丸尾まき兵庫県議会議員

   パット・エルダーさん (PFAS問題に取り組むVFP市民会員・「ミリタリーポイズンズ」ディレクター)

   通訳:レイチェル・クラークさん(VFP終身会員)

第1部:兵庫県の水のPFAS汚染の現状を知ろう! 

PFASって何?兵庫県の水はPFASに汚染されているの?

身近な川、海、井戸水や水道水は?

自治体の発表するPFASの数値や独自調査を元に、

兵庫県の水の現状を丸尾議員が説明します。

                      

第2部:アメリカのPFAS対策の最前線を知ろう!

米国環境保護局はPFASの中でも毒性の強いPFOSとPFOAの基準値を1リットルあたり4ナノグラムとしました(日本の暫定指針値はPFOSとPFOAの合算で同50ナノグラム)。魚、野菜などへの汚染の現状、その意義と今後のPFAS問題解決へのアメリカの取り組みの最新情報をパット・エルダーさんにお聞きします。

  

問い合わせ:seven-generations@live.jp 

主催:Pfas汚染と健康を考える兵庫連絡会

協力:2024 VFPピース・スピーキング・ツアー実行委員会

詳細:https://www.facebook.com/events/498031749242478/

      



☆神戸市政カフェ@Zoom

「パレスチナへのジェノサイドをやめさせるために」

日時:2024年6月25日(火)の20時から21時まで(無料)


昨年10月から始まったイスラエルによるパレスチナへの攻撃は

人口約220万人のガザ地区で死者が3万6千人を超え、

大半の市民が移動を強いられる事態になっています。

戦争と言うよりも一方的なジェノサイド、民族浄化行為になっています。


この未曽有の人権侵害をやめさせるためにエドワード須本さんは

神戸市会に陳情を提出し、

今年2月21日に神戸市会は、

「イスラエル・パレスチナの武力紛争の速やかな平和的解決を求める決議」

をあげました。


今回の市政カフェでは、

さらに兵庫県会にも働きかけている須本さんの思いを伺い、

市会決議で尽力したあわはら富夫市会議員からも報告を受けることで、

市民に何ができるかを一緒に考えたいと思います。


参加希望の方は下記よりお申込みください。

      ↓

https://peraichi.com/landing_pages/view/tsunagukobe


※お問い合わせ内容欄に、「市政カフェ参加希望」とご記入ください。

メールアドレスに、当日の参加URLをお送りいたします。

主催:つなぐ神戸市会議員団



☆上映会「サイレント・フォールアウト」

日時:6/29(土) 13時半開場・14時上映開始

会場:ウィズあかし学習室801(定員81名)

   明石駅徒歩5分 アスピア明石北館8F

参加費:500円(学生・障がい者無料)

主催:脱原発明石・たこの会

詳細:https://fallout22.com/



☆ガザに平和を!市民集会in兵庫 

日時:6月30日(日)14時から16時

会場:神戸市立婦人会館『さくら』の間

参加費:500円(資料代)

*田浪亜央江さん(広島市立大学准教授)による講演

テーマ<ガザにおけるジェノサイドの背景と「パレスチナ解放」の射程>

*終了後 大丸百貨店手前までパレード

詳しくは、チラシをご覧ください↓

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=pfbid02CMhKhkLRQeiE3C6JUBvFcaZZqiQJe4yr9ZiZKZb4sZVW2gEgpxAVv8Dy4854QFoel&id=100082149511401



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 素晴らしい夢をみて、それを行動に移せ

                       ナバホ族の格言 

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♪ 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。 ♪




♪♪ 発行者プロフィール ♪♪

小橋かおる 「花と爆弾-もう、戦争の暴力はやめようよ-」著者。

2004年の出版以来、アフガニスタンとイラクの子どもたちの支援を続けています。

2011年からは福島の子どもたちの健康を守る活動も支援させてもらっています。

さよなら原発神戸アクションの共同世話人も努めています。

できることをコツコツ、じわじわ続けたいと思います。

「花と爆弾」HP:https://hanabaku.blogspot.com/ 

ブログ「花と爆弾」Words for Peace: http://flowersandbombs.blogspot.com

ブログ「7世代に思いをはせて」https://nanasedai.blogspot.com/

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